第7章 海賊で音楽家

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私は今、「虎眼石の指輪」を一つ持っている。パウルを倒した時に手に入れたのだ。これはキャラクターのパラメーターを確認出来るアイテムらしい。 ぜひ、この若者に使ってみたいが、このアイテムは使えるのが一回こっきりのようだ。使うと消えるというのだ。 あまり軽はずみには使えないだろう。 「エッダリさん、相手をしてあげて下さい」 「えっ、俺っ!?」 エッダリはびっくりして大声をあげた。 これぐらいの冗談で狼狽えるな。馬鹿者。 「よし、私が相手をしましょう」 私はそう言って、横に置いてあったシャムシェイドを掴み、席を立った。 「……」 トゥルルは眠たそうな目をこちらに向けて、自分も手に剣を持った。 私達は宿屋を出て、近くの広場に向かう。 宿屋の外で待機していた仲間たちがゾロゾロと後をついてきた。 皆、私の「オーバー・ヒート」発動時の強さを知っている。これは見ものとでも思ったのだろう。血の気の多い連中である。 私としては、ある理由から新しい仲間の剣の腕を見たく無いと思っていたのだが、流れ的にそうなってしまったのだ。仕方が無い。 「さあ、始めましょうか?」 広場に着き、剣を抜いた私はトゥルルの方を向いて言った。 「……」 トゥルルは静かに鞘から剣を抜いてそれを構える。 彼の持つ剣はサーベルだ。 サーベルとは斬ることに特化して作られた少し曲線を描いた剣である。持ち手の部分にガードが付いているのが特徴的だ。 トゥルルのイメージには少し合わないように思える。 まあ、無骨なカトラスを握るよりかは、いくらか似合っているが…… 私は例の合言葉を唱えて「オーバー・ヒート」を発動させる。すると私の体内に力が漲ってくる。 まずは、トゥルルの出方を待つ…… ヒョンッ!! トゥルルが、信じられないスピードの突きを放って来た!!
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