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……
……
空気が張り詰める。
……
……
……ピクッ
来たっっ!!
ヒョッンッッ!!
トゥルルの渾身の突きだ!!
トゥルルから放たれたサーベルを私は上から自身の剣で払う!!
力などいらない。
上から触る程度に抑えただけだ。その時に少し角度をつける。
トゥルルの突きはその軌道を、私の首から脇腹に変えた!!
私は少し身を捻り、そして前に踏み込む!!
サーベルは私の脇腹をかすめるが、服を斬り裂いたのみで、皮膚に傷はつかない。
そして、シャムシェイドで峰打ちという手もあったが、しっかりと前に踏み込んだ私と、素晴らしい踏み込みで前に出てきたトゥルルとでは、両者の身体の位置が近かった。
私は片手をシャムシェイドから離し、手刀を作って、軽くトゥルルの額に面を放った。
トンッ!
勝負ありだ。
「……」
「……」
広場は静まり返る。
「……」
「……」
そして……
「……す、すっ!!凄いぞ!カナエ!!」
「おおぉっー!!」
「うぉぉー!!カナエッ!!」
「カナエッ!!凄い!!」
「カナエッ!!」
広場に歓声が巻き起こる!!
よほど剣の腕に自信があったのだろう、私に手刀で面を打たれたトゥルルは放心状態だった。
「素晴らしい剣の腕です。あなたにもぜひ仲間になって頂きます」
私はトゥルルの肩を叩き、にっこり微笑んだ。
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