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そして、私の怒りの形相に恐れをなしている。「オーバー・ヒート」発動時の私の鬼のような強さが印象に残っているのだ。
次が大事だ!!私には一度やってみたかったことがある。
小説などを読んで少し憧れていたシーンだ。
主人公の一声で人の波が、モーゼの十戒のように割れるシーン。
私はあれをやってみたかったのだ。
現実世界で、そんなシチュエーションに出くわす事はないだろうし、そんなシチュエーションに出くわすような波瀾万丈な人生も嫌だ。
やるなら今しか無い!
私は大きく息を吸い込む!!
いくぞ!!
私は周りを囲む敵海賊に怒鳴る!!
「お前らっ!!そこをどけぇ~ぇ~」
しまった!!
……声が裏返った。
「……」
「……」
まずい!!なんだ、この空気は!?皆、どうしていいか分からない表情をしているぞ!!
なぜ、こんな大事なシーンで声が裏返る!!
後ろのおっさん連中なんか笑い出してしまいそうだ。
おかしいだろう。
正々堂々と敵と戦った少年が撃たれて殺されたのだぞ。
それを「どけぇ~ぇ~」と声が裏返ったからと言って笑って良いか?
このシリアスな場面が台無しだ。
仕方ない。もう一度!!
「少年よ!!お前の無念は私が晴らしてやる……」
私はそう言ってもう一度剣を構える。
「お前らっー!!そこをどけぇっっー!!!!」
私は「オーバー・ヒート」を発動して、目の前の海賊を薙ぎ倒し、パウルに向かう!!
周りを囲んでいた海賊達は、私の怒りの形相に恐れをなして道を開けた!!
素晴らしい!これぞモーゼの十戒だ。
「パウルッ!!お前も男なら!少年と同じように私と一対一で戦えっ!!」
私はパウルの子分達が卑怯な手を使わぬように縛りを入れる。こう言えばそうそう手出しはしてこないだろう。
相手は卑怯な海賊だ。こんな縛りがどれだけの役に立つかは分からないが、言わないよりはマシだろう。
とにかく私の前を塞ごうとする者はいない!!
私は海の悪魔パウルに向かって一直線に走った!!
いよいよ、敵の親分パウルと一騎打ちだ!!
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