第5章 パフォーマー

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延々と私はパウルを攻撃するが、もちろん、致命傷は与えられない。 スマホの画面を確認しなくても分かる。私の感覚では海賊力は残り「3」程しか残っていないだろう。検証の時に減るスピードの感覚を掴んでおいたのだ。 打開策も見つからないまま、私はパウルを延々と攻撃し続けた。 んっ? 親父のスピードが落ちているような気がする?力も最初よりは弱いように思う。 ……そういうことか。 親父に疲労が蓄積しているのだ。 「海賊力」が残っている間しか「オーバー・ヒート」が使えない、こちらの方が不利ではあるが逆にこちらは「海賊力」が残っている間は疲労を感じない。 おそらく、疲労は「体力(HP)」と「生命力(VIT)」の両方のステータスと関係があると思われる。 しかし「オーバー・ヒート」発動中はその両方が延々とMAXなのだ。 残りの私の「海賊力」は「2」か「3」程度。 ……勝負をかけるなら今しか無い!! 私は、パウルに力強い一撃を与えて、大きく後ろに飛び退く!! おそらく、かなりの疲労を感じていたパウルは、私が一度距離を取ったことで、内心喜んでいるはずだ。 「パウル!観念しろ!!お前に勝ち目は無いぞ!!」 ハッタリである。しかし、かなり疲労しているはずのパウルには、これが真実に聞こえるかもしれない。向こうから見れば私は全く疲れていないように見えるからだ。 「あの正々堂々と戦った勇気ある少年を、銃で撃ったことは許しがたい!しかし罪を悔いれば命だけは助けてやる!」 「……」 私としては早くパウルに行動して欲しい。私はこの間も「オーバー・ヒート」を解除せずに「海賊力」を消費しているのだ。なぜ「オーバー・ヒート」を解除しないのか? それはパウルが奥の手を使ってきた時に対処する為だ。 「どうだ自分の卑怯さを悔いる気になったか?」 「……」 もちろん、パウルは滂沱の涙を流しながら天を仰ぎ見て、悔い改めたりはしない。 「……」 私としては、いったい何をしているのだ?お膳立ては整っている!早くしろと言いたい。
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