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僕は、あまりの事に驚いたが、とりあえず聞いておきたい質問をした。
僕「ところで、君は誰?」
「俺か?俺は強虎(きょうこ)。この木偶(でく)の守魂(もりたま)だ」
「分かりやすく言うと、お前が埴輪だと思ったのが木偶で、守魂ってのは、守り神みたいなものだ」
「それより、お前の猫の事だがそいつは悪霊に取りつかれていて、魂を食われ始めている。早く退治しないとそいつは死ぬぞ!」
僕「どうすれば寧子は助かるの?」
強「俺が倒してやってもいいぞ。ただし、そのためにはそいつの体を借りる必要がある。どうする?」
僕「お願いします」
強「よしっ、俺にまかせろ。それじゃ、まず俺をその猫のところに連れていけ」
僕は、木偶を持って下に降り、寧子の側に来た。
寧子はか細い声で「ニャー」と鳴いた。
強「それじゃ、まずこの木偶をしっかり持っていろ。俺がその猫の魂を木偶の方に追い出す。その時、木偶は激しく振動する。木偶を落として壊したら、二度とその猫の魂は戻って来ないぜ」
僕は、木偶をしっかりと持っていた。強虎は更に話を続けた。
強「その猫の魂は木偶の中で二、三日休めば回復するはずだ。しかし、それで戻しても、また、すぐに悪霊にやられてしまう。七日ほどは休むべきだ。俺がその間にその猫の体を借りて、悪霊を倒してやる」
強「用意はいいか?やるぞ」
僕「うん」
強虎の言葉に返事をして、すぐに木偶が震えだした。
強「終わったぞ」
しばらくしてメス猫のはずの寧子が男の声で叫んだ。
強「今、その猫の魂は木偶の中で休んでいる。安心しろ」
強虎は僕にそう言った直後、「お前か!」とただの空中に向かって叫んだ。
強虎は「ハァーっ」と気合いを入れると、寧子の体が巨大な虎に変身した。そして、「虎掌粉砕拳!」と叫んで、空(くう)を殴った。
その直後、黒い粉のような物が一瞬、辺りに飛び散った。そしてそれらは消えた。
強「これでこの猫は元に戻るはずだ。しかし、コイツをこんな風にした親玉はまだどこかにいる」
そういうと、強虎はまた、寧子の姿に戻った。
第2話に続く
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