第2話 虎の手と兎の足と

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土曜日の夕方、僕はこっそり、学校へ向かった。 そして強虎に言われた通りにするために、兎の飼育小屋の前にやってきた。 中を除くと、一匹の兎が餌の野菜を食べていた。 僕はおそるおそる鍵を外すと、ゆっくりと扉を開けた。 兎はとてもおとなしかった。 僕は兎をそっと抱き上げて、地面に置いた。 すぐに扉を閉めて、鍵をかけると、兎を上着と下着の間に隠して家へと走って戻った。 「あら、どこかに出かけていたの?」 お母さんが、そう訊いてきた。 「うん、ちょっとね」 僕は曖昧な返事をして二階の自分の部屋へ戻った。 そこには強虎が待っていた。 「おっ、例の奴、連れてきたのか?」 「うん、連れてきたよ」 僕はそう言って、上着をめくり、中から兎を取り出して強虎に見せた。
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