第2話 虎の手と兎の足と

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「出てこい、この煤(すす)野郎が!強虎様の強さに出て来ることも出来ないのか?」 二階で強虎が、そんな事を大声で言うのを聞きながら、僕は、強虎に言われたように、『大きい方』を階段のわりと近くに敷いた。 この四角い『大きい方』は、強虎が言うには、魔方陣の一種で、干支陣と言うらしい。 これが普通のと違うのは、術者(強虎の事らしい)が虎の化身だからか、虎を表す「寅」が一番上に書いてあって、あとは時計回りに「卯」、「辰」、「巳」…最後が「丑」と書いてあることらしい。 『小さい方』も干支陣らしいけど、『大きい方』より小さく、『大きい方』の中に敷けるように丸い形をしている。 「こっちは、まだ持ってろって言ってたよね」 僕は、懐の生き物に話し掛けたけど、返事はなかった。
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