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「し、知りません。シンデレラの居所など・・・。」
その時、足元に野良猫が擦り寄ってきた。その野良猫の口には硝子の靴が。
その猫は靴を咥えたままするりと裏庭に逃げた。
王子がその猫を追って裏庭に出ると、猫は裏庭の木の下で待っていた。
や、ヤバイ。そこは。
土の中から、シンデレラの片足が飛び出ていた。クソ猫!掘り出したのか。
女の力ではたいした穴も掘れずに、猫ごときに掘り出されてしまったのだ。
「シンデレラ!」
王子は号泣し、悲しみに暮れた。
「そのものを、シンデレラ殺害の罪で投獄せよ。」
王子が背中でそう告げた。
嘘でしょう?
「こ、殺してません!私じゃない!お母さまでしょ!」
「な、何を言うんだいこの子は!」
「じゃあ姉さまよ!」
「そんなことするわけないでしょう?」
「だって。お母さまも姉さまもシンデレラを苛めてたじゃない!」
「お前こそ!こき使ってたじゃないか!」
「見苦しいぞ。これが何よりの証拠だ。」
王子が低い声で私に告げた。
私は、あっと声が出そうになった。
シンデレラの手には、私の手に傷がつかないようにとはめていた手袋の片方がしっかりと握られていたのだ。
私は投獄されてしまった。
しかし、シンデレラの死をたいそう悲しんだ王子も、自らの寿命と引き換えに魔女に願って、舞踏会前まで時が戻された。私は元の生活に戻り、極刑は免れた。シンデレラは、本当の歴史通りに王子の妃となって、お城で幸せに暮らしている。
まあ、いいわ。今度こそ上手くやるわ。
もっと時間を巻き戻して、シンデレラと王子が出会わなければいいのよ。
そうしたらきっと王子は私を選ぶことでしょう。
私はまた魔女を訪ねた。
「時を王子がシンデレラを見初める前まで戻してください。私の寿命1年と引き換えに。」
今度こそ、確実にシンデレラを亡き者にしてやるわ。まだまだ10代だもの。寿命の1年も2年もたいしたことじゃないわ。
「残念じゃがそれは出来ぬ。」
魔女からは意外な言葉が返ってきた。
「何故です?あなたは私の寿命を物にすることができるのですよ?」
魔女は私を哀れむように見た。
「何故なら、お前さんからはもう寿命の取りようがないからじゃ。」
「嘘でしょう?私、あと1年も生きられないの?」
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