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もう、寒さも感じないくらい冷え切って
鳴こうと思っても声が出なくて
空腹も感じなくなった。
それなのに、耳だけはやけによく聞こえて
車のタイヤが近づいてくる音は恐怖心を煽った。
あぁ__また水がかかる
怖い
ぎゅっと目を瞑った
勢いよく水が跳ねる音
でも
水はかからなかった
目をゆっくり開けると
赤い傘をさした君がいた
同情した目で私を見下ろし
仕方ないというようにため息をつき
私に手を伸ばした。
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