濡れた仔猫

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連れていかれた部屋は中央に大きなベッド 床にじかに置かれたキャンバスが幾つか 出窓に置かれた年代物のダイアル式ラジオ 殺風景な部屋だった。 そこに今は砂のトイレとキャットタワーが追加された。 それは、私の持ち物だ。 今夜も 節操がない 私の飼い主。 ベッドがきしむ音がしている 邪魔するように そこへとびのった 「ねこた……」 男とつながったまま私の名を呼び ベッドの下に優しく落とす いい加減『ねこた』じゃなくて名前ぐらい付けろよと抗議するように「にゃー」と鳴く。
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