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突然ですが。
私は他人の心が読めちゃいます。
といっても、あまり自由に使える能力ではなくて。
私が右手で相手に触れると、触れた相手の心の内が流れ込んでくるのです。
十二月。
例年ならとっくに真っ白になっているはずの町なかは、まだまだ秋の風景のままだ。
紅葉を楽しんだ桜などの木の葉はとっくにすべて落ちて、枝だけが寒空に冬支度となっている。
もこもこの手袋、ふわふわのマフラー。
ファーつきのコート、ヒートテックのスカート。
二枚履きのタイツ、裏起毛のブーツ。
こちらも準備万端、冬仕様。
「でも、ひとりきりのクリスマス……しかも雪も降らない」
淋しく呟いたと同時に、私の右手が誰かの腕に当たった。
流れ込んでくる、見知らぬ人の心のなか……。
"早くトナカイを迎えに行かなきゃ! それに赤い服と、帽子! 白い袋はどこで受け取るんだ?"
振り返ると、同じ年くらいの若い男が、メモを片手にキョロキョロしている。私とぶつかった事になんて気付いてもいないようだ。
「わぁー、この人サンタクロースだ」
呟きが聞こえてしまったようだ。
「なんでわかったっ!?」
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