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男は驚きのあまりか、持っていたメモをひらりと落とした。それを拾って読み上げる。
「えーと、トナカイは隣町の牧場からレンタル。赤い服一式をクリーニングから受け取り。白い袋はいつもの店で。ソリは……」
「読むなっ!」
パシッとまた、私の右手が彼に触れた。
"早く行かなきゃなんないのに、こんなガキの相手してる暇はねぇよ!"
「ガキじゃないわよ!」
聞こえてきたとたんに、言い返す。と、男は「なんも言ってないのにぃ!?」と白い歯を見せた。
「ねぇ、手伝ってあげるわ。あなたこの町の人じゃないでしょ?」
余計なお世話だとわめく男の腕を掴んで、引っ張り歩き出した私。
もちろん右手で。
"な、なんだよ、ちょっと可愛いからってっ! 確かにこんな子とクリスマスの町をデートできたらいいなとか思ったりしたけど……。クリスマスは仕事だからなぁ"
「べつに、26日でもいいよ」
「……えっ?」
今年、サンタクロースの彼氏が出来そうです。
*end*
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