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二学期が始まって十日余りが過ぎたころ、三年生の生徒が一人、退学した。理由が公になることはなかったが、彼が寮生であったことはすぐに知れ渡り、誰もが同じことを考えた。またそれより少し前、寮において晶久が部屋を移り、それまで空き部屋になっていた二人部屋を一人で使用していることが、寮内だけでなく、校内でも多くの生徒の知るところとなっていた。
噂は一気に現実味を増し、それが、真実として学生の中で定着するまでにたいした時間はかからなかった。
どんな噂がささやかれようとも、またそれを生徒たちが事実として受け止めていようとも、晶久は、何ひとつ、否定も肯定もしなかった。もとより、晶久にことの次第を問う生徒は一人もいなかった。
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