第3章

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ようやく新年会がお開きとなる。 つ、疲れた… 「じゃあ、お疲れ様です。」 晋也が二人に挨拶をする。 「お疲れ~。」 最後まで陽気な藤井さん。 お酒の力って…… 晋也と車を置いてるとこに向かうと、さっきはあった鹿野くんの車がなくなっていた。 「…帰ったか。」 晋也がボソッと呟き、 「良かった~。」 一気に恐怖感が消え、晋也にもたれかかる。 「とりあえずは良かった。…帰るか。運転お願いします。」 晋也はニコッと微笑み、 「はい。」 笑顔で答える。 そんな喜びも束の間、 駐車場を出た先に一台の車が停車している。 その横を通りすぎ… うそ… あの車… 「……晋也…今の車…」 「…………はぁ……」 晋也は大きな溜め息をつき、何かを考えこんでいる。 バックミラーを確認すると、鹿野くんの車が尾行するように後ろにぴったりとついている。 晋也が再び、 「……つけてるな、アイツ。…このままだと家バレるから……ホテル行くか。さすがにそこまではムリだしな。」 ほ…ホテル!? 晋也の突然の提案に動揺を隠せないでいると… 「…いやか?そ~いうとこ。」 「えっ?…いやじゃないよ、ちょっとびっくりしただけ。」 「…明日休みだしこの際ゆっくりしよ~ぜ。」 「うん。」 私達は、無駄にぐるぐるまわりながら、ホテル街に入っていった。
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