第1章・一年後

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明け方、暑さで目が覚めた。 冷房はタイマーでセットしてあるから、オフになってしばらく経つこの時間は室温が高かった。 もっとも今朝の暑さはそれだけではない。 私の隣には樹が眠っている。 真夏の八月、狭いシングルベッドで身体を寄せ合って眠れば、冷房が切れてすぐ暑くなるのは当然のこと。 それでも普段通りにタイマーをセットしたのは、暑い夜に樹が泊まるのは久しぶりで感覚が分からなかったのだ。 私と樹は去年の九月から遠距離恋愛になった。 私が仙台で樹が東京……と離れて暮らしながらも、この一年は順調だった思う。
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