第1章・一年後

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私はタオルを枕元に置くと、自分の唇や舌を樹の額や頬、首筋に這わせた。 汗の匂いさえ愛しくて、夢中で樹の肌を舐めていた。 冷房が効き始めた部屋の温度は、二人の身体を寄せ合うのにちょうど良い。 私は身体を丸め、顔を樹の胸に埋める。 「……雪穂」 樹が眠そうな声で私の名を呼んだ。 「ごめん、起こしちゃった?」 「んー、大丈夫。もう朝?」
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