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すると母親はこう答えた
『あのね、どんな花にもちゃんと役割があって咲いているんだよ。あの向日葵は夏に日向に咲いて子供たちを見送る役割、あっちの門にさく桜は春に子供たちを迎える役割、蒲公英には蒲公英の役割があるの』
『でも他の蒲公英はちゃんと土手とか草原にさいてるからちゃんとみんなに見てもらえるよ?蓮華とかつくしとかと一緒に。お母さんはここで一人ぼっちじゃん。』
『お母さんはね、お日様の光を浴びれない代わりにお月様の光を浴びて育っているの。だからね、お日様のありがたみはよくわからないけどお月様の有り難みはよくわかるんだよ』
『でも、せっかく花に生まれてきたのにお日様の光を浴びていきていけないなんて。誰にも見てもらえないし。向かいの向日葵が羨ましくないの?』
『たしかに向日葵は子供たちに人気だけど夏の間だけ。夏が過ぎると枯れたりしてもう見えなくなる。それに春先に子供たちを迎えることもできないんだよ』
『でも蒲公英は違う。春先に子供たちを迎えてこの場所から子供たちを夏まで見守ることもできる。工作にも料理にも使われたりするんだよ』
『日陰にうまれたからって悲しくなんかない。日陰の生き物にはそれなりの生き方があるし日陰に生まれてちゃんとした役割があるんだよ。それはどんな生き物でも一緒なんだよ。』
『だからあなたが日向で生きたかったら日向にいきてもいいし、もし日陰に生きることになったとしてもきちんと自分の役割と幸せを見つけてね』
それをきいた子供の種は涙でいっぱい
『どんな生き物にもちゃんと役割がある。それは日向だろうが日陰だろうが関係ない。そこにはそこの素晴らしいところがあり、駄目なところもある。』
その話をきいた子供は清々しい気持ちで母親を後にした
飛んでいく途中、はるか上空で向日葵を見つめながら
「ありがとうお母さん、僕たんぽぽらしく生きるよ」
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