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○藍上高校
教師や野球部監督に話を聞いている結子と松本。
○柿区大学
野球部の練習の合間に、監督や選手に話を聞いている結子と松本。
○遅巻電器株式会社 ロビー
ソファで向かい合っている結子、松本と、加藤(38)。
加藤「オレの部下だったときの大森? マジメでしたよ」
ヘラヘラと笑う加藤。
加藤「たとえて言うなら、ホームランは狙わずこつこつ当てていくって感じ」
結子「つまり、仕事は地道にこなしてた、と」
加藤「そうそれ。社会人野球はさ、業務時間内は仕事やらなきゃならんでしょ。あいつは事務作業なんかも嫌がらずにどんどん受け入れてたよ。たとえて言うなら、ファールでも全力で追いかける感じ」
結子「……つまり、野球以外のことでも積極的に頑張る努力家、と」
加藤「そう、それ」
加藤、満足げにうなずいている。
松本「誰に聞いても大森は好青年て話ばかり。いいヤツなんですねえ」
加藤「いいヤツ過ぎて心配だよ。周りに気を遣ってばかり。たとえて言うなら――」
結子「たとえはもういいですから」
そこへ、井川南美(29)がやってくる。
南美「課長、須加物産様からお電話で、担当の方が異動になったので後任を紹介したいと……」
加藤「お、わかった。リリーフに交代ってわけだな」
南美「りりぃふ……?」
笑顔を崩さないが、明らかにわかっていない様子の南美。
助け船を出す結子。
結子「野球でピッチャーの引継ぎのことをリリーフって言うんですよ」
南美「あ、そうなんですか――」
結子と南美の目が合う。
驚いて凝視し合う二人。
南美「――結ちゃん?」
結子「あ……」
加藤、松本「え?」
嬉しそうになる南美の顔と対照的に、結子は苦い顔。
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