第1夜 髪の毛

5/15
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「はぁ。」 母の言葉に何も答えず、こたつに足を突っ込む。クレヨンしんちゃんを見ていると、いつの間にかテーブルの上に料理が並べられていた。 「まったく、身体ばっかり大きくなって。お父さんそっくりじゃない。」 「頂きます。」 特に会話もなく、食事は進む。そんな時だった。 「うわっ、何だ、これ」 口の中に何か異物。不快感。 口の中に指を突っ込んで、異物を取り出す。 「髪の毛?おいおぃ。」 指の間に挟まってたのは、黒く長い髪の毛だった。 「あらやだっ。作ってた時に入っちゃったのかしら?」 母はばつの悪そうな顔をして、ごめんと言った。 「またかよ。せっかくの旨いご飯が台無しだろ。気をつけてくれよ。」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!