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カラカラになった喉が張り付いて、うまく言葉が出てこない。 「あの…、手……」 強い視線が真っ向からこちらを射抜いてくる。 この人が現役で部活に取り組んでいた頃は、きっとこんな目で的を睨んでいたんだろう。 それでももう一度同じことを言おうと口を開きかけた私の右手は、彼の左手によってさらに強く拘束された。 「…は、離しっ…」 ───て。 「俺と付き合ってくれないか?」 「……え?」 「俺と、付き合ってほしい」 「え?あの……」 2度も聞き返したのは聞こえていなかったからというわけではなくて。 信じられないというよりは、信じたくないと言ったほうが正しいんだと思う。 「……頼む。真剣に考えてほしい」 泣きそうに俯いたその横顔を、軽い冗談で茶化すなんて私にはできない。 思い通りにいかない恋の辛さを知っているのは、彼も私も同じだったから。
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