どこぞの村とその祠

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○西の祠 外 (夜) 祠の前に立つ又二郎。 又二郎、戸に手をかける。 ○東の祠 祠の中 (夜) 祠の戸が開く。 外に立つ作次郎。 作次郎「おお、中は洞窟になってたのか」 作次郎、祠の中に入っていく。 ○すすきの群生地 (夜) 洞窟出口から出てくる作次郎。 作次郎「なんだ、宝玉なんかなかったぞ」 別の洞窟出口から又二郎が出てくる。 又二郎「なんじゃ、ここは」 群生地の真ん中で出会う又二郎と作次郎。 作次郎「なっ、又二郎」 又二郎「作次郎、なんで」 又二郎と作次郎、つかみ合う。 清春の声「ここは残しましょう」 声のする方向を向く又二郎と作次郎。 清春と名前の入った木刀を持った清春。 月明かりに輝く群生地。 又二郎と作次郎、群生地を見る。 又二郎、作次郎「こんなとこがあったんか」 清春「私だけの秘密の場所でした、だから、残したい」 清春、木刀ですすきをはらう。 又二郎「じゃあ、メモリーランドは諦めるか」 又二郎と作次郎、お互いの手をほどく。 清春「いえ諦めませんよメモリーランドは」 又二郎「なぁにぃ」 清春「メモリーランドのテーマは母の思い描いた自然との共生です」 又二郎「明日香の」 涙ぐむ又二郎。 月明かりに照らされるすすき。 ○東の村 民家 外 (夜) 外に出て月を眺める東のおばば。 ラインの着信音。 東のおばば、着物の袖からスマホを出しラインを開く。 スマホ画面、『西のおばば:今日は仲秋の名月じゃ、月が綺麗じゃのお』の文字。 ○西の村 神社 (夜) 境内の端でスマホを見つめる西のおばば。 スマホ画面『東のおばば:ほんに綺麗じゃのう、しかし、あの戯けら仲違いばかりしおって』の文字。 西のおばば「おっほっほっ」 ラインの着信音。 スマホを見る西のおばば。 スマホ画面、『清春:でも、今回はうまくいきましたね(笑)。母の願いが叶います』の文字。     満月。 ○小高い山の頂上 (夜) 満月。 スマホを見て立っている清春。 ラインの着信音。 スマホ画面『東のおばば:(笑)』の文字と『西のおばば:(笑)』の文字。 笑顔の清春。 清春の眼下に広がるすすきの群生地、月明かりに照らされ輝く。
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