どこぞの村とその祠

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○山奥 すすきの群生地 (夕) 夕焼けに照らされ銀色に輝くすすきの群生地。 白いスーツを着た東清春(28)、群生地を見ながら歩いている。ふと立ち止まりすすきの根元を見る。 清春と名前が書いてある木刀。 笑顔で木刀を見る清春。 清春「懐かしい」 ○東の村 全景 (夜) 茅葺屋根の民家が広がる村。 ○同 民家 外観 (夜) 茅葺屋根の家。鈴虫の鳴く声。 又二郎の声「なにぃメモリーランドじゃとぉ」 ○同民家 中 (夜) いろりを挟みにらみ合う東又二郎(54)と西村作次郎(54)。 又二郎の後ろに10人ほどの東の村人たち。 作次郎の後ろに10人ほどの西の村人たち。 東の村人たちの中央に座っている東のおばば(99)。 又二郎「レジャー施設建設なんか絶対許さん、なぁ東のおばば」 お茶をすする東のおばば。 作次郎「又二郎、これからみな出稼ぎに行って、冬の間家族が離れ離れになるだろ、これができれば働き口もできて出稼ぎに行かなくてもいいんだよ」 西の村人たち、全員頷く。 又二郎「何ゆうか、俺たちは先祖の土地を守らないけんとぞ、そんなもん作った日にぁ全部壊されてしまうやろぉ、作次郎、お前は昔っから金金ゆうて、そやけいつまっでん独り身なんじゃ、それに、その女言葉やめっち高校んときから言いよるやろが」 東の村人たち、全員頷く。 作次郎「言ったな、お前言ったな、お前は頭固いから清春連れて出稼ぎ行った明日香も帰ってこないんだろ」 又二郎、急にシュンとなる。 静まり返る居間。 又二郎「そうじゃのう、俺が頭固いけのぉ」 東西の村人たちが頷く。 又二郎「よし、今回は素直に・・・ってなるかい、何十年前の話いっとんじゃ」 又二郎、東の村人たちに振り向き。 又二郎「お前らも頭固い、でなんでうなづいとるんじゃ」 又二郎、東の村人3人の頭をはたく。 安藤の声「こんばんは」 東のおばば、ニコリとして、 東のおばば「噂をすればじゃのぅ」 隣接する土間からスマホをいじりながら現れる清春。 又二郎「誰じゃお前は、ん?まさか」 清春「お久しぶりです。お父さん、清春です」 × × × いろりを囲み座る村人たち。
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