どこぞの村とその祠

4/5
前へ
/5ページ
次へ
鼻水を垂らして泣いている又二郎。 又二郎「そうか、明日香は死んでしもうたか、つらかったのぅ、でもよう帰ってきた」 清春「ええ」 又二郎、鼻水を拭き。 又二郎「すぐにでも飲み交わしたとこやけどのう、今は取り込み中でな」 又二郎、作次郎を睨みつける。 清春「じつはそのことでお話に来たんです」 キョトンとする又二郎。 清春「実は私いまこういう会社をやってまして」 清春、名刺を差し出す。 又二郎、名刺を見て、 又二郎「なにぃ、メモリーランドデベロップメント代表取締役社長?」 清春「ええ」 又二郎、作次郎を見る。 したり顔の作次郎。 ○西の村 全景 (夜) 普通の田舎の家々が並ぶ村。 神社の鳥居が見える。 ○同 神社 境内 (夜) 境内に座って酒を飲む作次郎。 スマホをいじる安藤。 作次郎「いやぁ、傑作傑作、まさか実の息子が敵側の人間とは思わなかっただろうな」 清春「でも、頭が固いのは変わりませんねウチの父。あの調子だと納得してもらうのは難しいですね。東西の土地が必要なのですが」 作次郎「困ったなぁ」 清春「では、あの話をするしかないようですね、ねぇ、西のおばば」 境内の奥から歩いてくる西のおばば(99)。 西のおばば「そのようじゃのう」 ○東の村 民家 居間 (夜) いろりを挟み座る又二郎と東のおばば。 東のおばば「東と西の村には、それぞれの祠に宝玉が祀られておってな」 ○西の村 神社 境内 (夜) 座って話をする清春、作次郎、西のおばば。 西のおばば「その2つの宝玉をあわせ持つ村が東西の村を統べる、という言い伝えがあるんじゃ」 作次郎「そんなの迷信だろ」 清春「でも、他にあの父を説得する方法がありますか?神にもすがりましょう」 作次郎「むむ」 ○東の村 民家 居間 (夜) 又二郎「なんじゃ、そんな方法があったんか、なんでそれをもっと早う言わんのじゃ」 東のおばば、お茶をすする。 又二郎「明日香はよっぽどこの村とワシを恨んどったか、清春め、ワシに復讐しにきたんじゃ、返り討ちにしてやる」 立ち上がり家を出る又二郎。 ニコニコしている東のおばば。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加