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ムカついた。こんな人間如きが出来ることを僕が出来ていなかったなんて。
大っ嫌いな百合の花束を目印になるように置いてやる。他でもない、あの羽族に向かって。
僕は松葉杖の彼女のノートから1枚の紙をちぎって書き置きを残した。
『えっと.....親愛なる羽族さま。勤勉とか慈悲深いとかいう謳い文句はどうしたのさ。その体たらくと怠慢が信仰離れを加速させていることにいい加減気付くべきだね』
「ベキダネーー!」
『改心なんかさせられた僕の"元"友人になんてもう興味ないからね。穢れを集めたとしても、お前の羽根の色が変わったあの過去になんて戻ってやるもんか』
ここで少し僕は考えて、こう書き足す。
『別にお前になんか興味はないけれどーーこの少女は地獄に落とさないでやるからお前がなんとかしなよ』
ーーその少し後、この部屋に来た訪問者を僕はきっと知らない。
Fin.
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