第4章 持たざる者達

10/14
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
私には少しの間、状況が掴めなかった。 なんだ?あの可愛らしい少年は!? 「ベルンさん、あいつです。あの前にいる奴です」 海賊の一人が私を指差して少年に話しかける。 これは…… 素晴らしい!! なんという、ゲーム性の高さ!! 殺伐とした殺し合いの中に美少年を取り入れるとは!? 恐るべし!【海賊GAME】!! ここで可愛い少女のような外見の少年を登場させてくるとは、なんたるギャップ!! このゲームはなかなか良いところを突いてくるな。 ……と、言うことは皆が恐れる、海の悪魔パウル・ハウゼンとは……実はあの可愛い少年だったというオチか? いやいやいや、さらにさらにだ! あの少年は、本当は男装の少女であり…… 本当は少女海賊だった? そうであれば意表を突いているな。 私が色々と妄想していると…… ズダッーン!! ダッーン!! 銃声が鳴り響く!! なんだ?この銃声は、こちらのおっさん達ではない。 私が銃声のした方をみると…… 「むむっ!」 凄いぞ!なんていい人相なんだ? いかにもThe.悪!!という感じの親父が銃を構えて立っている。 たった今、向こうの船から乗り込んで来たようだ。 「お前らー!!もう制圧は終わったんだろうなぁ!?」 人相の悪い親父が言う。 ま、まさか?いかにもだが、この親父が…… 「パ、パウルさん!」 「船長!?」 敵の海賊達が口々に叫ぶ。 やはりか!? 私は自分のシャムシールを甲板に叩きつけて、真っ二つに折りたい気分になった!! このいかにも海の悪魔パウル・ハウゼンのような親父が……まさしく海の悪魔パウル・ハウゼンだったのだ!! そのままではないか!!そこには、なんのヒネりも無い!! あの少年を出したまでは良かった。しかしそれだけだ。 あの少年はおそらく剣の使い手か何かで、あちらの船の用心棒かナンバー2的存在なのだろう? そんな事、子供でも思い付くわ!!馬鹿者!! ガッカリだっ!!
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!