第1章

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タクシーのドアを開けた時。 奴がタクシーを飛び降り、ちらっとこっちを見て走り出した。 「くそっ!」 舌打ちもままならないうちに、俺も降りようとしたのだが。 「ほらほら、前のタクシーが動き出しましたぜぃ」 タクシーの運転手は信号が青になるや否や、またアクセルをべったりと踏み走り出した。俺を乗せて。 「ちっがあぁぁう!」 空のタクシーを追ってどうする!? 開けっぱなしのドアから仕方なく決死の覚悟で飛び降り、地面を転がる。俺をひきそうになった車に「"止まれ"」と命じ、俺は奴を追いかけた。 道行く人のなかで腕のたちそうな男を見つけると「"奴を捕まえろ"」と命じ、追いかけ続けるが、うまくいかない。 奴はこちらを嘲笑うかのように、操った人達をかわすのだ。 しかしこれならどうだ! 奴も男だ。素敵な女性に声をかけられたら足も止まるだろう! 「"あの男を誘ってくれ"」 グラマラスな女性をふたり操ってみた。しかし、高いヒールと豊満な胸部のおかけでとても奴に追い付けない。 「くそっ!」 仕方なく俺は走る。 走っていると向こうの道路からパトカーのサイレンが聞こえた。応援だ。
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