1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
タクシーのドアを開けた時。
奴がタクシーを飛び降り、ちらっとこっちを見て走り出した。
「くそっ!」
舌打ちもままならないうちに、俺も降りようとしたのだが。
「ほらほら、前のタクシーが動き出しましたぜぃ」
タクシーの運転手は信号が青になるや否や、またアクセルをべったりと踏み走り出した。俺を乗せて。
「ちっがあぁぁう!」
空のタクシーを追ってどうする!?
開けっぱなしのドアから仕方なく決死の覚悟で飛び降り、地面を転がる。俺をひきそうになった車に「"止まれ"」と命じ、俺は奴を追いかけた。
道行く人のなかで腕のたちそうな男を見つけると「"奴を捕まえろ"」と命じ、追いかけ続けるが、うまくいかない。
奴はこちらを嘲笑うかのように、操った人達をかわすのだ。
しかしこれならどうだ!
奴も男だ。素敵な女性に声をかけられたら足も止まるだろう!
「"あの男を誘ってくれ"」
グラマラスな女性をふたり操ってみた。しかし、高いヒールと豊満な胸部のおかけでとても奴に追い付けない。
「くそっ!」
仕方なく俺は走る。
走っていると向こうの道路からパトカーのサイレンが聞こえた。応援だ。
最初のコメントを投稿しよう!