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また、――耳鳴りがする。
「そんなん言われても……無理です」
「お願いします。もうここしか頼みの綱がないんです」
高校からの帰り道を歩いていると、突然そんな声が聞こえてきた。
その声が標準語だったもんだから、下校中だった僕は興味本意でついその声の方を見てしまった。
ちょうど開いていた引き戸のドアの中には視界を遮るものがなにもなく見通しがいい。
――やばい。
・ ・
うっかり、目があってしまった。
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