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言葉というものほど、厄介なものはない。
だから思う。
約束なんて、保証のない儚いもので。
軽い気持ちで紡いだ言葉は、99%の確率で見事に裏切られる。
だから私は絶対に信じない。
幼い頃からよく見てきた光景。
パパの黒いふかふかのイスに腰掛ければ、良く見える。
誰かがこのイスに座る人に頭を下げる光景。
泣いて許しを請う人。
土下座をしておでこをマットレスに叩きつける人。
悔しがって去っていく人。
いろんな表情があるけど、みんな絶望を貰ってここから消える。
パパは有名なIT企業の社長で、そして私はそんなパパの唯一の娘。
2つ下に弟がいるけど、やっぱり女の子だからかなあ。パパは私に甘いと自分でも思う。
そんなパパが大好きで、幼い頃はパパが会社に行くのすらも寂しくて泣きくじゃっていた。
だけどある日気づいた。
パパの会社に黙って行ったら、そんな光景を見た。
その黒いイスに座る人をパパだと思いたくなかった。
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