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そう思っていたら。
クラスメートに声をかけられた。
「鳴瀬さーん。誰か呼んでるよ」
「え、私?」
「うん。教室の前のドアにいるって」
「分かった!ありがとう」
誰かなあ?
わざわざお昼休みに呼び出さなくったっていいのに。
お腹空いてるのになあ。
「あ、来た」
「あれ?キョウ?」
「あれ?じゃねえよ。姉ちゃん今朝弁当忘れてっただろ」
「え、嘘?ほんと?」
「嘘なわけねえじゃん。だからわざわざ届けに来てやったんだけど」
そう思ってドアを開けたら、中等部にいるはずの弟、キョウがいた。
西高はエスカレーター式で中等部から高等部は同じ敷地内にあって、行き来は自由だからキョウがここにいることも理解できるけど。
なんてできた弟だろう。
わざわざ届けにきてくれるんだもん。私の弟は天使だよ。
「キョウ、ありがとう!」
「いーえ。別にいいよ。もうこっちくるのも慣れたし」
「キョウ、そんなによく高等部来るっけ?」
「まあ?姉ちゃんが弁当忘れる度に」
「うっ……」
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