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と言葉にするが、やはり「ぴーぴーぴー」という鳴き声だけしか出てこなかった。
美形君はそんな私を、眉根を寄せて訝しげに見てくる。しかもこの子、余り抑揚がない話し方をするので、感情が読み取りにくい。正直この子は苦手だ。
女神君には感謝の言葉をかけたいが、喋れないのがもどかしい。出来たことが出来なくなるのって、結構辛いのかもしれない。
鳥でなかったら言えただろうか。いや、鳥でなかったら、そもそも会うこともなかったか。それはそれで悲しいかも。
しかし、ありがとうって言えないだけで、こんな気持ちになるとは思わなかった。
「分かってるよ。っていうか、モロって赤ん坊って意味じゃん。雛って言いなよ」
「雛もモロだ。鳥のモロ。変わりはない」
『モロ』=赤ん坊、っと。頭の中のメモ帳に、忘れないよう一応記入しておく私。
「まったく、モロモロって変な名前付けないでよ。これからはモロって言うの禁止だから! 僕が名前付けるんだから!」
「名前なんか付けたら情が移る。いつか別れる時、辛くなるのは自分だぞ。止めとけ。……まあ情が移るより先に、三日以内でサヨナラかもしれないけど」
それって私が死ぬって意味だよね?
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