異世界に行ってきます。逝ってらっしゃい

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■  次に目を覚ましたのは、ドアを静かに開ける音だった。  今が何時かわからないが、外はまだ暗いから夜中だろう。なら、大体一~二時間位しか眠っていないと思う。  いったい誰が来たのだろうか。眠気眼で部屋に入って来た人物を確認すると、意外な人物、美形君だった。  美形君は手にコップとパン、そして一冊の本を持っていた。見かけはロールパンだ。なんの変哲もないパン。それでも私からしたらご馳走にしか見えない。  美形君は私の横に来て、持ってきた物をその場に置き、私が入った籠を少し横にずらした。  そして暖炉の横に積まれた薪を何本か火にくべ、燃える勢いを上げる。それが終ると、籠を退かして空けたスペースに寝そべり本を開いた。  たまにコップに手を伸ばしたりパンを囓ったりしている。コップから湯気が立ち、それに乗った牛乳の甘い香りが、ますます私の腹を空かせる。  私はその様子をじっと見る。美形君ではなく段々小さくなるパンを。  目の前に食べ物があるのに食べられない。高校生の頃にダイエットしていた時以来の拷問である。  するとじっくり見すぎて感づいたのか、ふいに美形君は私を向いた。 「……何だよ」
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