異世界に行ってきます。逝ってらっしゃい

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 カエルムと呼ばれた男の子。私と美形君の間に来て、ストンっと腰を下ろした。  つい先程まで寝ていたのか、癖がかった淡いうぐいす色の髪が全て逆立ち、まるで仁王像のような髪型になっている。その頭の上には何故か眼鏡が置かれ、レンズにテラテラ揺れる火明かりが映っていた。  なかなかこのような髪型は、真似しようとも出来ない。芸術的だ。  だが、そんなことより違う所に目が行った。  髪から覗く、少し尖った耳は波筋が入っていて、縦の瞳孔の大きな黄色い目は、闇の中でギラギラと輝いていた。  不思議にも、それが美しいと思った。  しかし彼は眠いのか、半分瞼が落ちている。  推定年齢は、やはり十代前半位だ。そしてこの子もそれなりに顔立ちが整っている。  しかも人間ではない風貌で、かといって美形君のような獣耳ではなく、尻尾もない。 「雛鳥と一緒にいるってことはアル? 今、眼鏡かけてないから誰だか分からないんだよね。どっか行っちゃった……」  ヒント上。さて、上にあるのは何でしょう? 「……頭の上触ってみろ」  不思議そうに、言われた通り頭の上を触ったカエルム君。眼鏡を見つけた瞬間、ぱあっと顔に花が咲いた。  うん、可愛らしい笑顔だ心が癒される。釣られてこちらも笑顔になりそうだ。  髪型見れば、別の意味で笑ってしまうけれどね。  彼は眼鏡をきちんと耳に掛けた。 「あ、フェガロか」  美形君を見て言うのだから、美形君はフェガロっていう名前なのだろう。
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