異世界に行ってきます。逝ってらっしゃい

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「うん。そうだね気を付けるよ」  カエルム君も彼の優しさに気づいたのか今は満足そうに、にこにこしている。  いいね青春、お姉さんも入れて欲しい。場違い過ぎていたたまれないから。 「まあ、一番いいのは俺達みたいなのがいない世の中何だろうけどよ」 「どういうこと?」 「俺達みたいなのがいなくてもいい、っていう世の中になればいいっていう話だ。で、そいつのエサやり終わったのか?」  それはつまり、軍隊がいない世界の事だろう。でもそうなるには、周りの国との平和と理解も必要になってくる。そうなれたら本当にいいのだけれど、それはなかなか難しい問題だ。 「あっ」  カエルム君の手は完全に止まっている。  「ごめんごめん」と私に謝るカエルム君の顔は、先程の眠そうな顔でもなく、泣きそうな顔でもなく、スッキリした表情だ。  それから引き続き、大人になりきれていない手で、私にパンの欠片を食べさせてくれる。  何時か、この手が色んな人の命を救うのだろう。  そう思うと、他人とはいえ、応援したくなる。  そして私の命を救ったことで、その夢の第一歩を確実に踏んでいる。小鳥の命でも惜しみ無く診てくれる、優しい心を持った彼を、もう立派な命を救う者の心だと私は密かに思った。  彼は気づいてないけど……ありがとう、未来の軍医さん。
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