人生バードモードに突入しました

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 何だったんだろうか、今のは。突風だろうか。突風にしては、かなり強かった気もしなくもない。  直ぐに静けさは戻った。しかし先程の緩やかな雰囲気は帰って来ていない。時間そのものが沈黙しているかのように、不気味なほどに静まり返っている。静か過ぎて耳が痛い。  木の葉が擦れる音。三者三様の光と影。輝き。それ等は眠気と共に、風に飛ばされ消え去った。  代わりに、私の小さな息遣いと、よく働く心臓が聞こえる。  静か過ぎる。  この世に私しかいないように錯覚されそうだ。だからか、急に心細くなって、心がそわそわと落ち着かない。  あの光景は何だったのか。幻覚だったのか。それとも夢か。  再び太陽の光を見る。それは相変わらず光の帯を伸ばしている。  その刹那、灰色の大きな影がその光景に覆い被さり、帯は切れて辺りが薄暗くなった。  そして一秒もせずに、灰色の影が濃くなり、窓ガラスに幾何学模様を作った。 ――ガシャァン  思考停止する頭に、数秒遅れてつんざく音が耳に届く。  割れたガラスが、小さな岩と化した壁の一部と共に、宙に舞った。灰色の物体はそれらを押し退け、我が物顔で進んで行く。  それはポッカリ空いた穴から登場してきた。私は目を剥いて出迎える。  そう、灰色の物体が窓と壁をぶち破いて現れたのだ。  灰色の物体は大きな影を作って、部屋の奥へと頭上を飛んでいく。その一連が、私の目にはスローモーションとなって流れている。  しかも入れてくれたお礼とばかりに、ガラスの破片は鋭い雨となって私の上に降り注ごうとしている。  これはマズイ。  第六感が警報を鳴らす。  自分の身に危険が及ぼうとしている。私は悲鳴を上げるより先に、毛布の中へ引っ込んだ。  そして一気に暗闇に包まれた。
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