人生バードモードに突入しました

7/19
前へ
/56ページ
次へ
 ぎゃあああ、生首が喋ったあああ!? いや、生じゃないけども生きてそうな、なんかわからんモノが喋ってて、転がって、動いててるぅ!? 「ビーピービーピーピーピー」  生きてるのかそうでないのか、分からないものが恐くて、思わず後方へ逃げた。  しかし籠枠が思っていた程より低かったようだ。ぶつかると、勢い余って籠の向こうへ体が傾いた。  へぶっ!!  声に出来ない激しい痛みが後頭部を襲う。  同時に左翼までジンジンと熱を持っているではないか。確認してみると、血が滲んでいる。カーペットに落ちていた際にガラスの破片で左翼を擦ってしまったようだ。  頭が痛い。左翼も痛い。おまけに右足も痛い。  あーもう……私はあほか。  そんなことをしていると、勢いよく扉が開き、見知った人影が現れた。  フェガロ君だ。  獣耳付きの金髪が、日の光に照らされキラリと輝き眩しさを放つ。   彼は「なんだこれは!?」と声を轟かせ、部屋全体に痺れを走らせた。そして緑色の目を限界まで見開き、茫然と立ちすくんでいる。  まだ朝日が顔を出したばかりなのに、彼は既に、シワ一つない服で身を包んでいた。  なんでこんな朝っぱらからキッチリ服を着ているのかはさておき、頼りになりそうな人物が現れたことに安堵して、私は嬉しい声を出した 。  うぁぁあぁあ、フェガロ君だ、フェガロ君! 助けてフェガロ君! 「ピーピーピー」  それと同時に、別の声が被さなった。 「やあやあフェガロフォス君。今日はいい天気だよ。嘘だと思うなら、空を仰いでみたらいい。実に気持ちの良い朝だからね。私は今朝そうしてたのさ。そうやっていると、空を飛んでいる気持ちになるんだよ。でもまさか本当に飛ぶとは思わなかったがね。いやはや君達は本当に何するのかわからない子達だね」  生首が怒号の勢いで口を開くので私の声が全く響かない。  ねえ、あれはなに?! 生きてるの? 死んでるの? わけわかんない、助けて! 怖い!! 「ピーピービピーピー。ピーピーピー」  兎に角私は彼に話しかけまくった。何せあり得ない事がずっと続いていて、何か喋らないと気がすまない。そして怖いし、恐い。 「いや君を責めているわけではないんだがね、ただちょっと、物を大事にする子が少ないような気がするんだ。元気なことに越したことはないが、私のようなモノにも敬意というものが欲しいのだよ」  生首も負けじと喋りまくっている。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

591人が本棚に入れています
本棚に追加