異世界に行ってきます。逝ってらっしゃい

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 最早裸が恥ずかしいとは言ってられない。  ランタンの光が私の頭上に来た時、見つけてくれた安堵と嬉しさで胸がいっぱいになった。だが急に明るくなった上が眩しくて、咄嗟に目を瞑ってしまったため、私を探し当てた人物の顔を見ることは叶わなかった。  私を見つけたその人は、私を素早く厚手の布でくるみ、持ち上げた。直接肌に当たる布は、優しく私を包む。そして、今日で2回体験する浮遊感が襲う。けれどもあの時よりかは、とても安心する。  そして私はその人のベストの中、つまり懐に入れられて完全に視界が消えた。 「さあおいで、もう大丈夫だよ」  そう言ってくれたその人の懐は温かく、冷えきり、疲れた体を預けた。ゆらゆら揺れるその気持ちよさの中で恐怖は何処かへ行き、いつしか私は深い夢の中に落ちた。  
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