1人が本棚に入れています
本棚に追加
久しぶりの休みだった。
俺はサブローの散歩に行こうと、小屋を覗いた。
「おーい!」と声を掛けると、サブローが首をしなだれて出てきた。
いつもの弾むような尻尾振りが無い。『行くのですか?』と言うような仕草だ。
「散歩に行くぞ…」
そう声を掛けると、サブローはようやく尻尾を振った。
現金で不思議な犬だ。
俺はサブローの綱を引いた。
サブローは若干うるさそうに俺の足元に来た。
(うるさいな。分かったよ…)
そんな風な仕草に思えた。
そんな邪険な感じが、どうにも可愛らしい。飼い犬という贔屓目もあろうが、俺はサブローが好きだ。懐いたり、懐かなかったりする気まぐれ加減が可愛らしく感じるのだ。
俺は綱を手に持ち、歩き出した。その後をサブローがついてくる。
さて、今日はどこに行こうか。
自宅から東か、西か、その二択がある。
俺は西にした。
最寄りの駅の駅前に出るコースにした。
サブローは久しぶりの散歩を嬉しがるような感じもしたが、どうも辿々しい感じもあった。
最初のコメントを投稿しよう!