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「そのコインを探して欲しいんだね?」
「はい夏目様。どうしても…どうしてもそのコインが私には必要なのです」
必要?
「分かった。一緒に探そう」
返事をした俺に
「また安請け合いをしおって…簡単に探すと言ってもそんな小さなモノをどう探すのだ?」
少し考え …
「そうだな…まず。最後にコインを確認したのは?」
「確か…2日前の朝に八ツ原の祠ではありました。それから無いのに気付いたのは夕刻を過ぎてからで」
「じゃ2日前の朝から夕方までの間に落としたんだね…その間自分の行動は思い出せる?」
「はい。私は今八ツ原の祠に住んでいて毎日境内まで行きお参りをするのが日課です、その裏の池で水を飲み東の森で木の実を拾い…また境内に戻り夕刻には祠に帰ります。何度も同じ道を探していたのですが…」
「そっか…でも何か見落としているかも知れないからもう一度一緒探そう」
塔子さんに外出する事を伝えると
「帰りは遅くなる?」
「どうだろう…でも、なるべく早く帰れるようにします。」
「あら、大丈夫よ。貴志くんも年頃だもの♪たまにはハメを外しても良いのよ」
「あはは…行ってきます」
僕は曖昧に笑って塔子さんに手を振り返した。
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