序章

2/3
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
レイコさんも 見えざる者を見るチカラを持っていて それはとても強いチカラだったらしく その為かやはり 俺と同じように周りからは孤立していたようだった そんなレイコさんの遺品は、かなり少ない。 その中で『友人帳』だけが とても大切そうにしまわれていた。 彼女は若かりし…と言っても 今の俺と同じ十代くらいの頃 出会う妖怪に片っ端から勝負を挑み 負かした妖怪達に1冊の帳面に名前を書かせてまわった。 それは「友人帳」と呼ばれ 名を書かれた妖は 持ち主に名を返してもらう迄ずっと従う事を約束させられていた。 あるきっかけで 祖母の遺品からその「友人帳」を見つけ譲り受けた俺は 噂を聞きつけた妖に狙われたり 名を返して欲しい妖に付き纏われたりの大変な毎日だった。 あの日も確か 友人帳狙いの妖に襲われ必死に逃げていた。 そこで偶然出会ったのがニャンコ先生。 ニャンコ先生とレイコさんは旧知の仲だったらしく 僕が死んだら友人帳を貰い受ける約束で 今は俺の用心棒をしているのだが… 真ん丸の豚の様な招き三毛猫擬きの姿で… それは昔の妖払が仕掛けた罠により封印され その時に依代として使われたのが この太った三毛猫の招き猫らしい。 逃げていた俺が 封印の一角をたまたま破ってしまったのでニャンコ先生は 『今』に戻ってこれたと言っていたが 完全に印の解けていないニャンコ先生は 普段は俺以外の人間にも見える依代の姿をして 飼い猫として生活をしている。 本来のニャンコ先生は とても大きな白く美しい獣の姿で とてもチカラのある 『斑』という大妖だ。 カタカタ…トントン。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!