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「縁玉は妖気を纏い輝くと言う話だから、おおかたどこぞの妖怪が持っていたのを山のカラスが持ち去ったのだろう」
そうか…
持ち主の解らない縁玉を飲み込んだ白猫は
訳も解らぬまま飼い猫として暮していたんだな…
「ところで、キミは亡くなった飼い主とも普通に会話をしていたのかい?」
「はい。私の飼い主は80歳を超えたお婆さんで、八ツ原の外れにすんでいました。最初に喋った時は驚いてましたが、日が経つにつれて私達はTVを見ては笑いあったり、時には歌を歌ったりして過ごしてたのです。」
「あの…」
田沼が間に入ってきて
「そのお婆さんってのは舘野美鈴さんって言うんじゃないか?」
「はい!そうです。美鈴おばあちゃんが私の飼い主です」
白猫は嬉しそうに答えた
「田沼は知っているの?」
「知ってると言うか…先月亡くなって身寄りの見つからない舘野さんは、今ウチの寺で預かっているんだ」
「身寄りが見つからない?」
「あぁ確か息子さんが一緒に居たとゆう話なんだが、役所の人間が舘野さんの持ち物や戸籍を調べてもそれらしい人物がいないらしくて…」
戸籍にも…
でも同居していたというなら…
「キミはその息子さんを知ってるかい?」
「………」
今迄嬉しそうに話していた白猫は
急に黙り込んでしまった。
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