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誰かに羽交い締めにされ動けない
『…んっ…息が…っ』
そこで目覚めると
ニャンコ先生が大の字で俺の上に乗っているじゃないか…
『苦しい筈だよ…まったく…』
蹴り落としてやろうかと思ったが
余りに気持ち良さそうなので
仕方なく俺が布団の端に避けた
台所では微かに包丁の音がしている
きっと塔子さんがお味噌のネギでも刻んでいるんだろう
まだ寝惚けていた俺は
ぼんやりとそんな事を考えていた
トントン、トントン、
トントン、カタカタ、
カタカタ?
1階の台所の音に混じり
すぐ横の窓を鳴らす音が聞こえた
『えっ?』
用心棒のニャンコ先生は涎を垂らして夢の世界にいるらしい
トントン、カタカタ、
2階の部屋の窓をこんな朝っぱらから鳴らす友人に俺は心当たりがない。
気付かぬふりをしていれば諦めて何処かに行くんじゃないかと思い
布団の端で気配を消していた
トントン、カタカタ、トントン、
「夏目様…おはようございます…夏目様…開けて下さい…お願いします…もし開けてくださらねば窓を叩き割りますよ…あと10秒以内で…」
丁寧に控えめな小声で恐ろしい事を言い出した
「・・・10・9・8」
ガバッ!
俺は急いで飛び起きカーテンを開け
窓の何者かを確認した
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