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出逢い
そこに居たのは
小さくて真っ白な猫
鈴の付いた赤いリボンをしていたが
汚れが酷く擦り切れていた
窓を割られるのは厄介なので仕方なく招き入れると
猫は目の前にチョコンと座り
「夏目様、お初にお目にかかります。私は白猫でございます」
「…イャ…それは見ればわかるけど」
少し困惑する俺をよそに猫は話し出した。
「実はお願いがあって参りました。夏目様なら何でも解決して下さると聞き…」
「ちょっと待て!」
俺は猫の話を遮った
「誰がそんな事を…?」
「昨日河原の畦道で迷っていると皿の干上がった河童様に会いまして、たまたま近くに水たまりがありその水を掛けてあげましたところ河童様がどうしてもお礼がしたいと申すもので、探しモノをしてると言ったところ…それならばと…」
「もうイイ…誰だか分かったから」
「やはりお知合いでしたか」
「お知合いもなにも…この辺りで皿の干上るような河童は1人しかいないから」
「そうですか…良かった。私も解決したらお礼に伺わなければと思っておりました。」
くそ河童め、余計な噂を流したりして…次に干上がっていても助けてなんかやらないぞ…
夏目は心の中で固く誓った。
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