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雷鳴が聞こえる。
不穏な唸りに、ミズキは思わず足を止めた。
雨が降りそうな気配はどこにもない。
頭上に広がる空は抜けるような青空だ。
雷鳴は、遥か遠くに見えるあの雲の中で鳴っているのだろうか。
無意識に服の上からおへそを隠し、ミズキは歩き出した。
明日は月曜日だ。
少しでもそのことを忘れようと散歩に出てきたのに、雷のせいで思い出してしまった。
ゴロゴロという唸りはまるで、明日から五日間の学校生活が、良くないものになると暗示しているようで。
空は晴れているのにミズキの心には雲がかかってくる。
部活は楽しい。
友達も好きだ。
ただ、クラスが苦手だった。
外界から閉ざされた〝学校〟という場所は、その中が全てだ。
箱庭たるこの場所で、ただ〝卒業〟の時を待つ。
運動が好きで、本当に良かった。
小学生の時も、中学生の今も、運動部はいじめられにくい。
ミズキはいじめることもいじめられることもなかったが、どろどろした空気が充満するクラスは苦手で、嫌いだった。
また雷。
さっきよりも近い。
雷は神鳴りとも書くという。
こんな天気の良い日に雷鳴とは、神様の嫌がらせなんだろうか。
空を見上げた。
相変わらず、青い。
ミズキの気分なんて関係なく、どこまでも青い。
そろそろ、帰った方がいいかもしれない。
秋の空は、天気が変わりやすいという。
雷が、三度目の唸りをあげる。
もっと近い、そして、長い。
不安に駆られて走り出そうとした瞬間、ミズキの視界が、真っ白で埋め尽くされた。
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