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耳をつんざく爆発音。
世界が白い。
何も見えない。
轟音が鳴り響く。
何も聞こえない。
身体が強張る。
歩けない。
雷が、落ちたのだ。
一拍遅れて気が付いた頃には、世界は徐々に色と音を取り戻す。
まだ、生きている。
止めていた息を吐きだして、ミズキはくるりと振り返った。
今しがた通り過ぎた公園から、一筋の白煙が漂っている。
空は相変わらず晴れていた。
こういうのを何というんだったか。
晴天のヘキレキだ。
漢字は難しくて覚えていない。
煙が立っているということは、雷が落ちたのだろうか。
間一髪だ。ミズキ自身に落ちなくて良かった。
安堵すると、それまで不安に隠れていた好奇心が顔を出した。
雷が落ちたところを、見てみたい。
落雷地点は、いったいどうなっているのだろうか?
稲光を見たことはある。
雷が落ちて割れた岩を見たこともある。
でも、落雷直後の場所を見たことはない。
不安と好奇心を胸いっぱいに抱き、ミズキはおそるおそる白煙の上がる場所へと近寄った。
誰かが、倒れている。
きっと雷にあたってしまったんだ!
不安も好奇心も、かなぐり捨てて駆け寄ってみると、どうやら男の子のようだった。
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