時歪の時計

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 チームってなんだ。益々わからない。その前に、この子は何者なのかもわからない。幼子に尋ねようとしたが、すぐに考えを改めて時歪に問い掛けた。 「この子は、何者なんだ。なんとなく想像では座敷童みたいだけど」 「うーむ、残念。もう一声」  もう一声って言われても、座敷童しか出てこないよ。 「わからないよ。教えてくれ」 「なんだ、諦めるのが早いぞ。阿呆」  まったく、阿呆、阿呆って言いやがって。だんだん腹が立ってきた。 「いいから、さっさと教えろよ」 「なんだ、怒ったのか。ふん、一人前面するな。こやつはだな、『座敷童猫』だ」  何? 座敷童猫? 「にゃ」  んっ、今『にゃ』って聞こえたような。まったく声が小さ過ぎる。ずっとこんな感じだとイライラしそうだ。けど、猫だと思えば少しは優しくできるかもしれない。 「あき……。早速……依頼……」  ――もしかして、俺の名前呼んだのかな。途中がよく聞き取れなかったけどなんとなく理解できる。けど、どういうことだろう。 「依頼って何?」 「おいらが話したほうが早そうだな。そのうちこやつの声にも慣れてわかるようになるってもんだ。依頼人を連れて来たそうだ。それに、こやつの名前は『アキ』だってよ」 「あ、そういうことか。俺の名前呼んだのかと思ったよ。アキちゃんよろしく」 「にゃ」  ――返事は『にゃ』なんだ。けど、『アキ』って女の子の名前みたいだよな。いや、男の子でもいいのかな。ま、いいか。  そんなことより、依頼人って。
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