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「おまたせ……た」
「うわっ」
突然の背後からの声に彰俊は思わず飛び上がってしまった。驚きのあまり心臓がバクバクしている。けど、振り向いた先には可愛らしい幼子が立っていた。ただ無表情なせいでちょっと怖いかも。背筋がゾクゾクとする。それに、なんであんなに小声なんだ。途中がよく聞こえなかったけど。まあ、幽霊としては合格なのかもしれないが。大声の幽霊なんていないだろうからな。
ただ気になることがひとつ。果たしてこの子は女の子だろうか、男の子だろうか。中性的な存在だ。格子柄の絣の着物を着ている。頭はショートカットというかどこかのお坊ちゃんみたいな感じだ。やはり男の子だろうか。
「おい、阿呆。今のおまえの心の内を当ててやろうか。こやつが男か女か判断に苦しんでおるんだろう。どうだ図星か」
彰俊は頷き、時歪の返答を待った。が、答えたのは幼子のほうだった。もちろん蚊の鳴くような声で「男」とだけ。いや、待てよ。そのあとも口が動いていた気がする。何か続けて口にしていたのだろうか。
「そういうことだ」
時歪はニヤリとした。
――どういうことだ?
「ちょっといいか、俺にはさっぱり状況が掴めないんだが」
「なんだ、やっぱりおまえは阿呆だな。まさか、聞こえなかったわけじゃあるまい」
「男としかこの子は言っていないだろう」
時歪は左右に頭を振り、「幽霊の言葉がまともに聞こえないとは、まだまだ修行が足りないな。こいつは、『これでチームの完成だ』と話したんだ」
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