恋にしたたか、超能力者

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次に気づいた時には同日の昼休み、手紙を出す前まで、時間が巻き戻っていた。 そう、俺には時間を巻き戻す能力がある。 先天的にこんな能力を持っていたわけではなく、超能力が使えるようになったのは、2週間ほど前。 変なばあさんがくれた紫色の飴を舐めてからだ。 当初は疑問が尽きなかったが、まあ、あのばあさんや飴のことを考えても仕方がない。 きっと魔女とかマッドサイエンティストとか、そういう、俺じゃどうにもできない類いのものだろう。 それよりも、この能力を有効活用することを第一に考えた。 なんせ、時間を巻き戻せるんだ、使いようによっては何だって手に入る。 金も、名誉も。――心さえも。 さて、その心を手に入れるためにやっている行動がこれだ。 キヨミの理想週間。 要は、告白して、フラれる。 そして、ダメな理由を聞きだし、告白する前に戻って、1週間かけて改善する。 それを、キヨミと付き合えるまで繰り返すんだ。 これによって、俺は一週間ごとにキヨミの理想に近づける。いずれはオーケーがもらえるはずだ。 しかも、フラれるというリスクを冒すことなく。 さて、これから出す予定だった手紙はいったんしまっておこう。
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