1人が本棚に入れています
本棚に追加
次に気づいた時には同日の昼休み、手紙を出す前まで、時間が巻き戻っていた。
そう、俺には時間を巻き戻す能力がある。
先天的にこんな能力を持っていたわけではなく、超能力が使えるようになったのは、2週間ほど前。
変なばあさんがくれた紫色の飴を舐めてからだ。
当初は疑問が尽きなかったが、まあ、あのばあさんや飴のことを考えても仕方がない。
きっと魔女とかマッドサイエンティストとか、そういう、俺じゃどうにもできない類いのものだろう。
それよりも、この能力を有効活用することを第一に考えた。
なんせ、時間を巻き戻せるんだ、使いようによっては何だって手に入る。
金も、名誉も。――心さえも。
さて、その心を手に入れるためにやっている行動がこれだ。
キヨミの理想週間。
要は、告白して、フラれる。
そして、ダメな理由を聞きだし、告白する前に戻って、1週間かけて改善する。
それを、キヨミと付き合えるまで繰り返すんだ。
これによって、俺は一週間ごとにキヨミの理想に近づける。いずれはオーケーがもらえるはずだ。
しかも、フラれるというリスクを冒すことなく。
さて、これから出す予定だった手紙はいったんしまっておこう。
最初のコメントを投稿しよう!