雨音と声

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雨音と声

ザーッ… やっぱり雨は憂鬱だ。傘はぶつかるしいいことない。 「おーい、悠どうした?」 「ごめん響(ひびき)さん、ぼーっとしてた。」 「ぼーっとしてたって…おい、ファンに捕まるぞ」 「それは困る、だから雨ってやだ。早く歩の家行こう。俺、腹減った。」 俺はcrownというアイドルグループの一人で毎日歌番組やバラエティ、ドラマに引っ張りだこ。一緒にいる本田響さん、立岡歩も同じグループだ。 「なあ歩、今日飯何?」 「何って…お前手伝う気ないだろ。働かざるもの食うべからず。」 えー…仕事あけでそりゃねえよ。 「まあまあ、歩その位にしといてやれよ。さっき撮影終わって悠も疲れてるだろ。俺手伝うから」 笑いながら響さんが歩き出す。さすが年上、こういうところ大人だよなあ… 3人で他愛もない話をしながら人混みをすり抜けて行く… ♪~…… …あれ?今何か聞こえなかった? ♪~… まただ。雨が降ってるのになんで? 「響さん、歩、何か聞こえない?」 「「え?」」 「ほらまた…歌声?」 「俺には雨音しか聞こえないけど…響は?」 「俺にも聞こえない。」 なんでだ?こんなにはっきり聞こえてるのに… 「近いと思うから行ってみるわ」 「「おい!」」 二人をおいて走りだした。
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