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って、流されて終われるわけがない!
「話そらそうとしたって無駄だからね?」
「そういうお前は、どうなの?」
「わっ…私!?」
思ってもみなかった質問返しに、思わず声がひっくり返る。
だって、どうなのなんて聞かれても…
「答えられない?ふーん」
何か期待してたみたいだけど、私が答えなかったからか、瑛心はつまんなさそうに私から視線を逸らした。
「……から」
「?」
「少なくとも、あんたより恋愛経験あるんだから!」
…………あ。
「いや、そんなこと俺聞いてないし…」
「そ、っか」
思わず口走った言葉に、後悔が押し寄せてくる。
こんなこと言いたいんじゃないのに…
「あ、ついでに都田、これ返す」
「えっ、お、おう」
ありがと、と付け加えて数学の教科書を渡す一知花。
それを、瑛心が明らかな強ばった表情で受け取った所で、大きくチャイムが鳴り響いた。
「じ、じゃあまた放課後な」
こつ、と私の軽く頭を叩いて、瑛心は廊下を歩いていった。
もっと素直になれたらいいのに。
そうしたら、こんなにモヤモヤすることもないのに。
いつもなら嬉しい頭こつんも、今の私に効くことはなかった。
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