どうしようか

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「瑛心……な、なに言って」 私の頭の上には、数え切れない程の疑問符が浮かんでいた。 だって、なんに関してもめんどくさがりな瑛心が、自分から頼みごとだなんて… 「そういうのって、知っときたいもんだろ?」 「そんなの私じゃなくても…」 「まともに話せる女友達が、陽奈子しかいないって分かってる癖に」 !! どうしてそんなこと、平然とした顔で言えるんだろう。 私にとっては、嬉しくてたまらない言葉。 だって、私が瑛心の女友達の中で、1番ってことでしょ? 「それで、教えてくれるの?」 「教えます」 そりゃあ、即答しますとも! 私が自信満々に頷くと、瑛心は小さく微笑んで歩き出した。 だって、もしかしたらこの機会に2人の距離が一気に縮まることだって、夢じゃない。 さり気なく、私の気持ちを伝えられることもできるかもしれない。 これって、絶好のチャンス……だよね?! 「じゃあ、今からな」 「え?」 思わず出た間抜けな声にも気付かず、ぽかんと口を開ける。 「俺ん家でいいよな」 え、いいいいきなり!? 私まだ、なんの準備もしてないんですけど…… 今更“恋愛経験なんてない”とか言ったら、呆れられるに決まってる。 私は、小さく息を呑んだ。 ここでバレて、せっかくの機会を逃すわけにはいかない。 「分かった。 その代わり、みっちり教えるから」 「ん。お手柔らかに、分かりやすく頼むわ」 あんまりお目にかかれない、瑛心の笑った顔に、私は目が離せなかった。 何を教えるかなんてわからないけど、これから少しでも瑛心の時間を私のものにできるって思うと。 「……えへへ」 にやにやが、止まらないよ。 「おそ、早く来いよ」 「ま、待ってよ!」 ……でも、教えるって、何をどう教えればいいんだろう。
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